月と星の本棚
「星くずの図書館」ブログ版+ファンタシウム・ブック+おさんぽの本
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虹の天象儀
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誰かの中に、思いは残る。
五島プラネタリウムにやってくる子供は、少し違ったところがある。ただの星好き、天文好きではない。他館でやっているような自動プログラムの解説では満足できない一握りの少年少女たちが、このプラネタリウムにやってくる。
東横線に乗って行けば渋谷に着く、そんな場所に住んでいたので、わたしもむかしは、“五島プラネタリウムの子供”でした。
引っ越してからは五島プラネタリウムもすこし遠くなってしまいましたが。それでもプラネタリウムのなかでは、五島プラネタリウムがいちばん思い入れの深いプラネタリウムであり続けました。やはり、人の生の声で星の解説をしてもらえる、それが魅力だったからです。
思いがタイムスリップする物語。五島プラネタリウムへの思いがいっぱい詰まった物語。そして、織田作之助という作家へのオマージュも込められたSFです。
織田作之助という作家についてはほとんど知りませんでしたが、映画「わが町」など観てみたいとも思いました。
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かつてのNHK少年ドラマシリーズのようなドラマにしてもらえたらいいのに、とも思います。
ラストのほうで、星のない町・渋谷の空いっぱいに広がる満天の星を街ゆく人がみんなで見上げるシーンには胸が熱くなりました。
GO GO モンスター
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べつにマニアックなものを求めているわけではない。(サブカルなものとそうでないものの区別だって私にはよくわからないのだ…)
ただ自分の趣味・趣向にしたがって選択していくと、なんとなくこういう傾向なものにたどり着いてしまうというだけ。ほかの人がそれを“マニアック”と呼ぼうが呼ぶまいが、私にはどちらでもいいこと。
書き下ろしの長編漫画です。作者は2年がかりでこの作品を描いたそうです。分厚い本です。漫画本としては値が張るかもしれません。
この作者の絵の印象は最初、私にはけっしてとっつきやすいものではなかったんですが、読むととても惹きつけられました。
忘れてしまっていた小学生のころの記憶…いや、これは記憶ではないな。だって、こんな経験はしたことがないもの…じゃ何ていえばいいのだろう?
とにかくある種の感覚を呼び覚まさせてくれるテイストに満ちていて、ああ、こんなふうな感覚は私にも覚えがある、と思わせてくれるものを持っている作品だったのです。
“大人”とか“子ども”とかってなんだろなー?と思ったりもします。
(2002年1月31日・記)
貝の火
べつの日記に載せていた過去記事ばかりコピペしていて申し訳ないのですが、ただ、本の紹介というのは、時事ネタ記録などとは違って、過去に書いたものだからと言って、中身までは古くならないと思っています。
本人がこんなことを書いていたのかと忘れている部分もあって(苦笑)、じぶんのための記録としても書き留めておきたかったし、それに、良い本は時を選ばず読まれるのを待っているものだと思います。
「夢のつづき わたしの絵本」− 夕べNHK総合で放送されていた番組。そのなかで、女優の本上まなみさんが宮沢賢治の「貝の火」を紹介していた。
宮沢賢治の童話、といえば、多くの人は「銀河鉄道の夜」とか「風の又三郎」とかをすぐに思い浮かべるかもしれない。そのなかで「貝の火」を挙げるあたり、彼女はかなり宮沢賢治を読んでいる人なのだろうと思わせられる。
案の定、本上さんが子どものときから幾度となく読んできたお話だという。いろいろな出版社から出ている「貝の火」を、何冊か持っているらしい。
おもに紹介されたのは、童心社から出ている版。ユノセイイチ氏のシンプルで美しい画がすてき。いまはあまり手に入らない本のようだけれど。
本上さんもこれはミステリーだと言っていたが、「貝の火」はちょっとコワイお話だ。
うさぎの子のホモイがあるとき川で溺れそうになっていたヒバリの子を助けたお礼に、貝の火という宝玉を手に入れる。それは、持つ人が汚れた考えを持ちはじめるとしだいに曇り、やがてはくだけてしまうというふしぎな石。
「赤や黄の焔をあげてせわしくせわしく燃えているように見える」貝の火。
オパールのなかでもとりわけ美しい、メキシコ産のオパールがある。それを見ると、いつもこの貝の火のことを思い出す。ホモイがもらったのは、こういう石なのかもしれないな、と思う。
でも、ホモイはヒバリの子を助けるという善い行いをしただけなのに、どうしてこんな目に遭わされなければいけなかったんだろう?
ホモイのお父さんは貝の火を見て言う。
「これは大変な玉だぞ。これをこのまま一生満足に持っている事のできたものは今までに鳥に二人魚に一人あっただけだという話だ。」
そんなタイヘンなものをくれようとしたヒバリの親子に、ホモイは最初「いりませんよ。たいへんきれいなもんですから、見るだけでたくさんです」と言ったのに、結局持たされてしまったのよね。
ラストが怖い。パチッと砕け散った貝の火のかけらが目に入って、ホモイは失明してしまう。
フクロウのセリフも怖い。
「たった六日だったな。ホッホ。たった六日だったな。ホッホ。」
たしかにホモイは貝の火を手にしたことで思い上がったり驕ったりしたかもしれない。それが、ひとの持つ弱さ、かもしれない。
けれども、どうしてここまでの目に遭わされなければいけなかったんだろうか、とやっぱり思ってしまう。このお話は何度も読んできたけれど、読むたび素通りできないざわざわした気持ちを胸に抱いてしまうのだ。
それでも、ホモイのお父さんの存在が私を少しはホッとさせてくれるのだけれど。
「泣くな。こんなことはどこにもあるのだ。それをよくわかったお前は、一番さいわいなのだ。目はきっと又よくなる。お父さんがよくしてやるから。な。泣くな。」
そして最後は何事もなかったかのような、さわやかな朝の描写。
窓の外では霧が晴れて鈴蘭の葉がきらきら光り、つりがねそうは「カン、カン、カンカエコカンコカンコカン。」と朝の鐘を高く鳴らしました。
このあたりもいかにも賢治さんらしい。
「貝の火」とはまた違うけれど、同じように心に素通りできないものが残るという点で私が好きな(好きな…と言うべきなのかな?)賢治さんの童話(童話、なのかな、これは?)は「土神と狐」。いつも、ラストでう〜むとうなってしまうのですが。
番組の最後に、絵本ソムリエとして登場した、絵本作家の広松由希子さんが“石つながり”で紹介していた、「ロバのシルベスターとまほうの小石」。これもなかなか深い内容のありそうな絵本。機会があったら読んでみたい絵本です。
(2006年7月11日・記)

本人がこんなことを書いていたのかと忘れている部分もあって(苦笑)、じぶんのための記録としても書き留めておきたかったし、それに、良い本は時を選ばず読まれるのを待っているものだと思います。
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「夢のつづき わたしの絵本」− 夕べNHK総合で放送されていた番組。そのなかで、女優の本上まなみさんが宮沢賢治の「貝の火」を紹介していた。
宮沢賢治の童話、といえば、多くの人は「銀河鉄道の夜」とか「風の又三郎」とかをすぐに思い浮かべるかもしれない。そのなかで「貝の火」を挙げるあたり、彼女はかなり宮沢賢治を読んでいる人なのだろうと思わせられる。
案の定、本上さんが子どものときから幾度となく読んできたお話だという。いろいろな出版社から出ている「貝の火」を、何冊か持っているらしい。
おもに紹介されたのは、童心社から出ている版。ユノセイイチ氏のシンプルで美しい画がすてき。いまはあまり手に入らない本のようだけれど。
本上さんもこれはミステリーだと言っていたが、「貝の火」はちょっとコワイお話だ。
うさぎの子のホモイがあるとき川で溺れそうになっていたヒバリの子を助けたお礼に、貝の火という宝玉を手に入れる。それは、持つ人が汚れた考えを持ちはじめるとしだいに曇り、やがてはくだけてしまうというふしぎな石。
「赤や黄の焔をあげてせわしくせわしく燃えているように見える」貝の火。
オパールのなかでもとりわけ美しい、メキシコ産のオパールがある。それを見ると、いつもこの貝の火のことを思い出す。ホモイがもらったのは、こういう石なのかもしれないな、と思う。
でも、ホモイはヒバリの子を助けるという善い行いをしただけなのに、どうしてこんな目に遭わされなければいけなかったんだろう?
ホモイのお父さんは貝の火を見て言う。
「これは大変な玉だぞ。これをこのまま一生満足に持っている事のできたものは今までに鳥に二人魚に一人あっただけだという話だ。」
そんなタイヘンなものをくれようとしたヒバリの親子に、ホモイは最初「いりませんよ。たいへんきれいなもんですから、見るだけでたくさんです」と言ったのに、結局持たされてしまったのよね。
ラストが怖い。パチッと砕け散った貝の火のかけらが目に入って、ホモイは失明してしまう。
フクロウのセリフも怖い。
「たった六日だったな。ホッホ。たった六日だったな。ホッホ。」
たしかにホモイは貝の火を手にしたことで思い上がったり驕ったりしたかもしれない。それが、ひとの持つ弱さ、かもしれない。
けれども、どうしてここまでの目に遭わされなければいけなかったんだろうか、とやっぱり思ってしまう。このお話は何度も読んできたけれど、読むたび素通りできないざわざわした気持ちを胸に抱いてしまうのだ。
それでも、ホモイのお父さんの存在が私を少しはホッとさせてくれるのだけれど。
「泣くな。こんなことはどこにもあるのだ。それをよくわかったお前は、一番さいわいなのだ。目はきっと又よくなる。お父さんがよくしてやるから。な。泣くな。」
そして最後は何事もなかったかのような、さわやかな朝の描写。
窓の外では霧が晴れて鈴蘭の葉がきらきら光り、つりがねそうは「カン、カン、カンカエコカンコカンコカン。」と朝の鐘を高く鳴らしました。
このあたりもいかにも賢治さんらしい。
「貝の火」とはまた違うけれど、同じように心に素通りできないものが残るという点で私が好きな(好きな…と言うべきなのかな?)賢治さんの童話(童話、なのかな、これは?)は「土神と狐」。いつも、ラストでう〜むとうなってしまうのですが。
番組の最後に、絵本ソムリエとして登場した、絵本作家の広松由希子さんが“石つながり”で紹介していた、「ロバのシルベスターとまほうの小石」。これもなかなか深い内容のありそうな絵本。機会があったら読んでみたい絵本です。
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(2006年7月11日・記)
Our Apple Tree
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楽しいりんごの本を見つけた。子ども向けの洋書絵本。「ぼくたちのりんごの木」。
薄っぺらな本だし、英語も易しいので、すぐ読めてしまう。デリシャスりんごの絵がとくに美味しそう。牛にブタに鹿にヘラジカが集まって、りんごパーティをしているシーンも楽しい。“Everyone likes apples.”(みんなりんごが好き)には、思わず「うん♪」とうなずいてしまう。
この絵本を眺めて思うことは、「世界のどんなところにもミラクルが満ちている」ということ。
いちばん最後のページには、アップル・クリスプのレシピ付き♪
私もさっそく作ってみた。クリスプ(カリカリ)にするために欠かせない材料はたぶんオーツ麦(オートミール用の押し麦)。が、あいにく家にはなかったので、そこはパン粉で代用。たっぷりめに使用したほうがカリカリ感が増すかも。
作り方は…8人分?
1)グラニュー糖カップ2分の1、小さじ1杯の小麦粉・シナモン・塩をボウルに入れて混ぜます。そこに、皮を剥いて薄切りにしたりんご8カップを加えてまぶします。それを13×9×2インチ(約33×22×5cm)の耐熱皿に敷きます。
2)べつのボウルに、1カップの小麦粉・オーツ麦・ブラウンシュガー、小さじ2分の1のベーキングパウダーを入れて混ぜ、細かく切ったバターをカップ2分の1加え、生地をまとめます。それをりんごの上にかけます。
3)華氏375度(190℃)のオーブンで35分ほど焼いて、冷ましてから8つに切り分けます。
訳すとだいたいこんな感じなのだけど、私はこのとおりの分量でやったわけではなく、ちいさなスフレ型を使ったので、焼き時間も15分ほど。冷めないうちの熱々を食べました。
(2007年11月・記?)
シャーリー
![]() | シャーリー (Beam comix) (2003/02) 森 薫 商品詳細を見る |
先に書いた、「エマ・ビクトリアンガイド」の関連本とも言えるでしょう。
「エマ」と同じ作者、森薫さんによる「シャーリー」です。
メイド漫画というジャンル(?)があることさえよくわからずにいた私ですが(“萌え”というのもいまだによくわかりませんし(^_^;))、森薫さんの「シャーリー」は以前よりタイトルだけ知っておりました。先の「エマ」のガイドブックが目に入ったのも、そのことがあったからでした。
時代背景などがかなりしっかり書かれている作品だというのはかねてより耳にしていて、それで前々から興味は抱いていたわけです。
メイドではなく執事(アンソニー・ホプキンスが演じてました)のお話でしたが、「日の名残り」などという映画もふと思い起こします。
私は漫画の絵柄が好きになれないとその作品に入り込めないタチですが、その点、これは表紙のメイド・キャラクターがイヤラシクないのにも好感を持ちました。(最近良くあるタイプの、やたらに目だけ大きなキャラクターは苦手です)
もしかして萩尾望都さんなどの作品も読まれてきた作者では? と感じさせる部分もあって(ただの勘でしたが)、でもそれはあながち的外れでもなかった気がしてます。
シャーリーは13歳のメイドさんですが、作者あとがきによれば、「魔女の宅急便」を観てしまったおかげで、「頭にヘンなスイッチが入り」(笑)生まれてしまったキャラクターなのだとか。ふとしたコマに「魔女の宅急便」的シーンを感じる部分はたしかにありますね。
ベネット・クランリーという女主人の家でメイドとして働くことになったシャーリー・メディスン。
それぞれの短いお話は、ストーリーとも言えないほど小さなエピソードなのですが、ベネットとシャーリーが、ときに単なる雇い主と使用人の枠を超えて、親子のような、姉妹のような、年の離れた友人のような、けして濃密ではないものの、単に淡いわけではない関係を築いているのが、ときにせつなく、あたたかく。
両親のいないというシャーリー。あまり多くは自らのことを語らない彼女の過去にも何かわけありなものがありそうですが、それが描かれているところまではいっておらず。もっとふたりのエピソードが読みたいな、とも感じます。
5歳で当主となった少年とメイド、ネリーの、コマドリを巡っての小さなエピソード、「僕とネリーのある日の午後」(どこか「秘密の花園」をふと思い興させ)と、イタズラ好きで破天荒なおじーちゃん子爵とメイド、メアリの闘いぶりと、ほろりとしつつ笑ってしまうラストの余韻が好きな「メアリ・バンクス」を同時収録。
「シャーリー」と、「エマ」副読本のガイドブックを読んだら、未読の「エマ」も読みたくなりました。
「エマ」は、“伝統と革新のブリティッシュロマンス”だということです。シャーリーよりは少し大人なエマと、彼女がメイドとして働く豪商ジョーンズ家の長男ウィリアムとのラヴ・ロマンスが繰り広げられる物語、といったところでしょうか?
(2005・5・5・記)
エマ・ビクトリアン・ガイド
![]() | エマヴィクトリアンガイド (Beam comix) (2003/12) 森 薫、村上 リコ 他 商品詳細を見る |
これは「ヴィクトリア朝イギリスの生活、文化にスポットを当てた『エマ』副読本」ということで、「エマ」というコミックを踏まえて書かれているガイドブックです。
が、単にヴィクトリア朝に興味があるというだけのひとにも楽しめる本になっていると思います。
現に私も「エマ」は知らずに買ったわけでして…。
英国のヴィクトリア時代といえば、かのシャーロック・ホームズの時代でもあり、「不思議の国のアリス」や、アガサ・クリスティのポアロやミス・マープル、ウィリアム・モリスや、「リリス」や「北風のうしろの国」のG・マクドナルトなどにも反応してしまう私としては、素通りできなかったのも当然かな、と。
19世紀末の家事使用人たちの組織構造や仕事の内容、当時のロンドン・マップ、建築や調度品、使われていた道具、ファッションなどから、貴族と使用人たちの歴史、完璧な紅茶の入れ方にいたるまで、これは「エマ」という漫画を離れて読んだとしてもなかなか楽しめるガイドブックです。巻末に掲載されたその時代背景を知るための小説や物語などの紹介付き。
(2005・5・5・記)
満月をまって
![]() | 満月をまって (2000/09/25) メアリー・リン レイ 商品詳細を見る |
「トルネコの冒険」というプレーステーション(スーパーファミコンかな?)のゲームがありました。冒険に出る前に、まず村の名前を入力するのでしたが。私が即座に思いついて入れた名前が「トネリコ村」。
「トネリコ村のトルネコ」 ― これがなんとなく周りに受けて。(^^)
そのトネリコが、かごを編むのに最適な樹木だというのを、この絵本ではじめて知りました。
(RPGなどでよく登場する“世界樹ユグドラシル”はトネリコの樹みたいです。北欧神話に由来しているらしいですが。ある本によれば「100年もかかって樹高が40mにもなる」のだとか。だから学名にも“excelsior”(卓越した)という種名がついています)
いまから100年以上前のアメリカ、ニューヨーク州ハドソンに違い山間の村で、トネリコのかごを編んで生計を立てている人たちがいました。これはその物語。
かごを編んで町へ売りに行くのですが、町の人びとは山奥から来る彼らを“山ザル”などと呼んで、近づこうとはしません。山奥は深い森で、不気味なうわさ話や伝説が流れていたからです。アメリカ版浦島太郎ともいうべきリップ・ヴァン・ウィンクルの話や、“首なし騎士”が馬を走らせるという恐ろしい話(ティム・バートン監督の「スリーピー・ホロウ」って映画がありましたが、あれですね)などが。
しかし、かごは芸術品ともいうべきもので、著者によれば「世界中どこをさがしてもないというほど、すばらしいもの」でした。
やがて工業化が進み、紙やビニール製のものが使われるようになると、かごの需要は減っていきました。かご作りに使われたトネリコの樹も減少していったそうです。
そして最後までかご作りを続けていた女性が1996年に亡くなると、かごを編む人もいなくなりました。
いまでもアメリカには、博物館や民芸品のコレクションのなかに、この丈夫で美しいかごが残っているそうですけれども。
「風がえらんでくれた人になりたいとおもった。」
この絵本のなかでいちばん印象深かったことばです。
“山ザル”などと町の人に言われて、かご作りなんか自慢できるものじゃないとさえ思ってしまった“ぼく”に、父さんと同じようにかご作り名人のビッグ・ジョーは言うのです。
「風からまなんだことを、音にしてうたいあげる人がいる。詩をつくる人もいる。風は、おれたちに、かごをつくることをおしえてくれたんだ」
そして、こうも。
「風はみている」(略)「だれを信用できるか、ちゃんとしっているんだ」
それを聞いて、“ぼく”は思うのです。「風がえらんでくれた人になりたい」と。
“ぼく”が、風の呼ぶ声を聞いて、半月の輝く森へでかけていくモノトーンのシーンが素敵です。
“風がえらんでくれた人”になりたいと思います。私もできたらそうなりたいと。
そして、上野洋子さんの「野苺」という歌の詞のように。(作詞は「千と千尋の神隠し」のテーマソング「いつも何度でも」などでお馴染みの覚和歌子さん)
生きるのなら もっと遠くへ
まだ見ないほど
風に 空に つながれるほどに
…歌詞の意味をどう解釈するかは人によるでしょうけれど。
![]() | 自然現象 (2005/05/25) 上野洋子 商品詳細を見る |
ちなみに「野苺」の入っているアルバムはこれです。
(2007年11月18日・記)
ヴァンデミエールの翼
![]() | ヴァンデミエールの翼(1) (アフタヌーンKC) (1997/04/21) 鬼頭 莫宏 商品詳細を見る |
![]() | ヴァンデミエールの翼(2) <完> (アフタヌーンKC) (1997/12/16) 鬼頭 莫宏 商品詳細を見る |
19世紀的世界を舞台に、背中に翼を持つ、少女の魂を宿した自動人形ヴァンデミエールが自由と自立を求める遍歴の物語。
ふとしたひとコマ、ふとしたセリフに惹きつけられる漫画。
どことなく宮崎駿、大友克洋、漫画版『エヴァンゲリオン』の貞本さんなどの匂いも浮かぶ絵柄です。でも絵柄は可愛くとも、物語はけっこう苦い。
一話完結のオムニバス形式で進みますが、時間は行ったり来たりしていて、話の流れがわりと複雑。ああ、これはあれと結びついていたのか…と後になってわかったり。
ラストの続きを求めたくなりますが、そこで終わっているからいいのかもしれません。
(02年1月・記)
最近コミックばかり、しかも過去に書いた記事ばかり載せてます。(^_^;)
Marieの奏でる音楽
![]() | Marieの奏でる音楽 上 (バーズコミックスデラックス) (2001/12) 古屋 兎丸 商品詳細を見る |
![]() | Marieの奏でる音楽 下 バーズコミックスデラックス (2001/12) 古屋 兎丸 商品詳細を見る |
宮崎駿テイスト+イバラード&ガウディ感覚…そんな感じ?(どうでしょう?)
森羅万象の“声”を聴くことのできる少年と、彼を心ひそかに慕う少女。加えて、鉱石やからくりや空飛ぶ機械…そんな小道具が登場する。となれば、私が読まずに通り過ぎることができるわけがなく。(笑)
冒頭の、トロッコに乗って秘密の場所へ出かけてゆくシーンを目にした瞬間から、もうこれは良い展開が期待できそうな予感が♪
ページの先を急ぎたいような、めくるのが惜しいような…。そんな漫画はひさびさ。
未来ミュージックの『イバラード』のイメージ音楽が合いそうな気がして、それをかけながら読んでいた。(ながら読みは私にしては珍しいこと)
![]() | 「イバラード博物誌」イバラード〜未来ミュージック (1995/10/25) イメージ・アルバム、未来music 他 商品詳細を見る |
キャラクターたちの服の描き方も凝っていて、とくにピピの身につけている服は奇抜なようでいて、不思議に惹かれるデザイン。機械の描写は圧巻というか、細かいな〜と。ラフで緻密で不思議な絵柄。(絵的にも、どこか、井上直久さんの漫画『イバラード物語』を思わせるところがあるような気がするのですが…)
![]() | イバラード物語―ラピュタのある風景 (1995/07) 井上 直久 商品詳細を見る |
後半の話の展開がとくによく、せつないラストには思わずグッと来るものが…。再読するともっと細かな部分が見えてくるのかも。脇役たちもよい。
古屋兎丸さんの作品はこれしか知らないけれど(これとは180度テイストの違うものもお書きになっているらしい)、良いモノに出逢えてほんとによかった、感謝☆
(03年12月・記)
またもや過去日記からのコピペですが、良いものは残しておきたいので。
岸辺のふたり− Father and Daughter
![]() | 岸辺のふたり―Father and Daughter (2003/03) マイケル・デュドク ドゥ・ヴィット 商品詳細を見る |
もとはアニメーション映画なので、ほんとうは映像で観たいと思っている作品です。(ちなみにDVDは発売されています) 映像ではたった8分間の作品です。が、ここには静かだけれど濃密な時間が流れています。
![]() | 岸辺のふたり [DVD] (2003/06/04) 不明 商品詳細を見る |
父と娘の物語。
多くは語られない物語に何を感じるかは人それぞれでしょうが、表紙にも描かれているひろびろとした干潟を歩くふたりの姿、なだらかな丘の光景、木立ち、海へ漕ぎ出す小舟、自転車、空に浮かぶ月…さまざまなセピアいろのシンプルな画面を見ているだけで、言葉にはならない、たくさんの思いが湧いて来ます。
ゆっくりと眺めたい本です。
私は、この絵本のページをめくりながら、ヴィクトール・エリセ監督の「エル・スール(南)」という映画を思い出していました。
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