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シャーリー
![]() | シャーリー (Beam comix) (2003/02) 森 薫 商品詳細を見る |
先に書いた、「エマ・ビクトリアンガイド」の関連本とも言えるでしょう。
「エマ」と同じ作者、森薫さんによる「シャーリー」です。
メイド漫画というジャンル(?)があることさえよくわからずにいた私ですが(“萌え”というのもいまだによくわかりませんし(^_^;))、森薫さんの「シャーリー」は以前よりタイトルだけ知っておりました。先の「エマ」のガイドブックが目に入ったのも、そのことがあったからでした。
時代背景などがかなりしっかり書かれている作品だというのはかねてより耳にしていて、それで前々から興味は抱いていたわけです。
メイドではなく執事(アンソニー・ホプキンスが演じてました)のお話でしたが、「日の名残り」などという映画もふと思い起こします。
私は漫画の絵柄が好きになれないとその作品に入り込めないタチですが、その点、これは表紙のメイド・キャラクターがイヤラシクないのにも好感を持ちました。(最近良くあるタイプの、やたらに目だけ大きなキャラクターは苦手です)
もしかして萩尾望都さんなどの作品も読まれてきた作者では? と感じさせる部分もあって(ただの勘でしたが)、でもそれはあながち的外れでもなかった気がしてます。
シャーリーは13歳のメイドさんですが、作者あとがきによれば、「魔女の宅急便」を観てしまったおかげで、「頭にヘンなスイッチが入り」(笑)生まれてしまったキャラクターなのだとか。ふとしたコマに「魔女の宅急便」的シーンを感じる部分はたしかにありますね。
ベネット・クランリーという女主人の家でメイドとして働くことになったシャーリー・メディスン。
それぞれの短いお話は、ストーリーとも言えないほど小さなエピソードなのですが、ベネットとシャーリーが、ときに単なる雇い主と使用人の枠を超えて、親子のような、姉妹のような、年の離れた友人のような、けして濃密ではないものの、単に淡いわけではない関係を築いているのが、ときにせつなく、あたたかく。
両親のいないというシャーリー。あまり多くは自らのことを語らない彼女の過去にも何かわけありなものがありそうですが、それが描かれているところまではいっておらず。もっとふたりのエピソードが読みたいな、とも感じます。
5歳で当主となった少年とメイド、ネリーの、コマドリを巡っての小さなエピソード、「僕とネリーのある日の午後」(どこか「秘密の花園」をふと思い興させ)と、イタズラ好きで破天荒なおじーちゃん子爵とメイド、メアリの闘いぶりと、ほろりとしつつ笑ってしまうラストの余韻が好きな「メアリ・バンクス」を同時収録。
「シャーリー」と、「エマ」副読本のガイドブックを読んだら、未読の「エマ」も読みたくなりました。
「エマ」は、“伝統と革新のブリティッシュロマンス”だということです。シャーリーよりは少し大人なエマと、彼女がメイドとして働く豪商ジョーンズ家の長男ウィリアムとのラヴ・ロマンスが繰り広げられる物語、といったところでしょうか?
(2005・5・5・記)

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